きついという資格もないだろう。
きついきついきつい。
あいつのいない世界がのしかかる。
なぜ助けれなかった?一番そばにいて、なぜ?
一番理解してやれる立場だったのに、なぜ助けれなかったんだ。
いまは(ある程度まで)理解できてしまうあいつの悲しみが苦しい。
ある程度までしか理解できないあいつの悲しみを忘れたくない。
どんどん記憶が鈍っていくのがわかる。
どんどん遠くへ行ってしまう。
けれど、今でもなお鮮明に脳裏に焼きつく。
どんどん記憶が鈍っていって
どんどん感覚が研ぎ澄まされてく。
凍結していた感覚が、春の訪れと共に溶け出して、私を凍らす。
雪解け水は想った以上に冷たく刺さる。
「アイラブユーなんて簡単に言えちゃうのね」
違うよ。君が見ていた世界はごく一部だったんだよ。
私も気付くのが遅かったんだ。